私たちの体を支える“血液”の知られざる一面
2024年10月09日
普段は意識しないけれど、私たちの体にとって欠かせない存在、それが血液です。怪我をして出血したときや、鼻血が出たときに初めてその存在を目にしますが、日常生活ではほとんど意識することはありません。しかし、血液は体の維持において極めて重要な役割を果たしています。今回は、そんな血液のちょっとした豆知識を掘り下げてみましょう。
血液の基本構造と量
成人男性の体内には約5リットル、女性には約4リットルの血液が流れています。これは体重のおよそ7~8%に相当します。この血液を遠心分離すると、赤い部分と比較的透明な部分に分かれます。赤い部分は赤血球、白血球、血小板などの「血球」で、透明な部分は「血漿」と呼ばれる液体です。血漿は全体の55%、血球は45%程度を占めていますが、この比率には個人差があります。
血液の温度は驚くほど高い
血液の温度をご存知ですか?通常、血液の温度は約37.3℃です。これは「中枢温」と呼ばれ、私たちの体の内部温度、すなわち体温の基準となるものです。この温度が維持されることで、私たちの体は正常に機能しているのです。点滴を受けたことがある方は、点滴が冷たく感じる経験をしたことがあるかもしれません。これは、点滴の温度が血液よりも低いために感じるものです。
血の味と匂いの秘密
怪我をして血を舐めたとき、鉄の味がすると感じたことはありませんか?これは、赤血球に含まれるヘモグロビンが関係しています。ヘモグロビンは「ヘム(鉄)」と「グロビン(タンパク質)」から構成され、酸素を運ぶ役割を果たしています。舌で感じる鉄の味は、このヘムによるものです。
また、血液には独特の匂いもあります。鉄の匂いと表現されることが多いですが、実は血液中に含まれる脂肪酸が分解されてできる物質、「1-オクテン-3-オン」や「トランス-4,5-エポキシ-(E)-2-デセナール」が原因とされています。これらの物質が、時折カビやマッシュルームのような不快な匂いを放つことがあるのです。
血液の循環速度と体内の壮大な旅
血液が体内をどれくらいのスピードで巡っているか、考えたことはありますか?大動脈などの太い血管を通る血液は、秒速1メートルで流れています。全身を一周するのにかかる時間は、平均で約50秒。足先など遠い場所に行く血液は少し時間がかかりますが、それでも驚くべき速さです。
さらに、血管をすべてつなげると地球を2周半するほどの長さ、約10万キロメートルにもなります。この距離を考えると、血液の役割の壮大さに驚かされますね。
動脈と静脈の違い、そして唯一の例外
血液の流れには、酸素を運ぶ動脈と、二酸化炭素を回収する静脈があります。一般的には、動脈が赤く、静脈が青く見えるのは、酸素の有無によるものです。ただし、心臓から肺に向かう「肺動脈」と、肺から心臓に戻る「肺静脈」だけは例外で、動脈に二酸化炭素が多く、静脈に酸素が多いという逆の関係になっています。
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今回は、普段あまり意識しない血液について少し掘り下げてみました。血液が私たちの体内でどのような働きをしているのかを知ると、私たちの体がいかに巧妙に設計されているかを改めて感じることができるのではないでしょうか。